父の手術

それからしばらく経って、父のめまいの話は全く忘れていました。

ある日の仕事終わりの時間、車に乗り込んだタイミングで携帯に着信がありました。実家からでした。結婚していた頃、義理の祖父母、義理父をおくった経験があり、携帯の着信音が少し苦手な私は、突然の電話のベルに「ドキッ」としながら出ると、母は、仕方ない‥とでも言うように「色々悪いんやと」と言いました。「どうしたん?なんともないんやろ?治るんやろ?」と聞く私に「あっちこっち悪いんやと」「がん?」「そう」「どこ?」「胃」「胃がん?」「手術すんの?」「そう。来週入院する」「えー、大丈夫やろ?」「んー」「どこの病院?」「〇〇病院」「あたしも病院についていくわ」と言いましたが、手術の説明は弟が立ち会うと言うことでした。

突然の事に、目の前が真っ暗になりました。

そして父が入院し、手術の説明があった日の夜、弟から電話がかかってきました。状態があまり良くない事、かなり進行していると言うことでした。電話を切ってしばらくドキドキが止まりませんでした。そして数日後の手術には、時間に融通のきく私が母と立ち会う事になりました。

手術の日の朝になりました。コロナ禍で病院は直接の面会ができません。ただ幸いにも手術室に向かう父が待合室の横を通ったときにチラッと姿を見る事はできました。「お父さん!頑張れー!頑張れー!」と声を掛けました。

手術中はPHSを持たされ、待合室で何をするこというともなく携帯で『胃がん』を検索していました。どんな手術なのか?術後は?治療の方法は?etc。 事前の説明で手術は4時間かかるとのことでしたが、お腹を開いて切除する事ができない場所の場合は胃ろうの処置をして縫合するからもっと早く終わるとのことでした。どうかPHSの呼び出し音が早く鳴らないように。どうか無事に成功しますように‥。ただ祈るだけでした。

そして祈り虚しく1時間半後、PHSの呼び出し音が鳴ったのです。

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